こっそり読書&ダイエット記録ブログ

読んだ本を忘れないように記録します。 目指そう!年間100冊 そしてレコーディングダイエット!(2008年より)

56「ブランコのむこうで」星新一 新潮文庫

ある学校の帰り道、僕は自分そっくりの男の子に会って追いかけていくと見知らぬ家に閉じ込められ、気づくとそこは人が夜見る夢の世界に入り込んでいた。
星新一特有のブラックユーモアみたいなものはあまりないけれど、とてもメルヘンチックな感じでいい本だと思った。

ただ石を道の穴につめていくだけのおじいさんとの出会いの話

男の子が「もっとすごいものを作ればいいのに」というと
おじいさんは「みんながみんな偉大なことを完成するとは限らない。完成できたほうがいいには決まっているが、できない人だってあるんだ。わたしは失敗に終わってしまった。しかし、完成を心に描きながらずっと楽しく生きてきたよ。楽しく生きてきたような気がするだけかもしれないがね。これでいいのだろう。もうすぐできあがるこの石で、道のあの穴を埋めることができたら、きっと心に満足感がわいてくると思うんだよ」と答える。


なにか人生感を思わせるようなこの言葉がいいな〜と思った。
私を含め、たいていの人はこんな人生を送っているのかも?

55「残花亭日暦」田辺聖子 角川文庫

久しぶりに買った田辺聖子の一冊。
カモカのおっちゃんを看取るまでの介護日記。
とはいえ、ここに苦労話は書かれていない。明るいことだけ書くようにしている日記だから。

でも、そんな日記から垣間見える夫婦愛、死が近づいていることがわかっての悲しみ、やりきれなさが伝わってきて、しみじみと泣けてしまった。

分刻みの忙しい仕事のスケジュールの中、実家には年老いた母、病院通いと本当に立派だと思った。

いささかは苦労しましたといいたいが
苦労が聞いたら怒りやるやろ


ますますファンになった。

54「我らが隣人の犯罪」宮部みゆき 文春文庫

短編集で、他に「この子誰の子」「サボテンの花」「祝・殺人」「気分は自殺志願」が入っている。
デビューしてから初めての短編ということで、軽い感じで読める。
「この子誰の子」は人工授精を題材にして殺人事件はないのだけど、じんわりくる作品。

着眼点はさすがで面白いのだけど、ちょっと私には物足りなく感じた。

53「手紙」東野圭吾 文春文庫

久しぶりに東野作品を読んでみた。
さすがである。一気に読んでしまった。泣ける。
兄は弟を大学に行かせたくて強盗殺人を犯し、弟は犯罪者の弟ということで差別される。

兄は弟に刑務所から毎月手紙を送る。弟はその手紙から逃れようとして、自分の家族を守るためについに兄に決別の手紙を送る。が・・・

いかに真面目に生きようとも、必ず差別の目で見られてしまう現実。

世の中にはこの弟と同じ思いをしている家族がたくさんいることだろう。
家族も一生罪を背負うことになる、その血の重さ。

だからこそ、家族のことを思って犯罪を犯すなと受け取るか、犯罪者の家族には罪がないから差別をなくせと思うのか、それは受け取り手によって違うだろうが、色々と考えさせられる小説だった。

52「行動することが生きることである」宇野千代 集英社文庫

98歳まで長生きされた理由がこの本に書かれている。この一冊を読むと、すごく勇気付けられる。

前向きな宇野さんでも「おはん」を書いたあと、書けなくなる時期があったという。その時、「私はもう書けない。私にはもう書くことがない。」という考えにとらわれていたのだという。

「出来ないと思うものは出来ない。出来ると信念することは、どんなことでも出来る」と天風先生から言われ、それからひょっとしたら自分は書けるのではないか、そう思った途端に書けるようになったらしい。

世の中の凡てがこの方程式通りになると確信した宇野さんは、いつも自己暗示にかけるのだという。

それは例え自分の嫌いな食べ物であっても美味しいと思えば美味しく感じるものだと。

前向きに思い込めば人生は楽しい、行動すれば道が開ける、そんなことを感じさせてくれる一冊だった。